不安なシングルマザーの老後の現実
まずは、シングルマザーの老後に待ち受ける現実を見ていきましょう。
大切なお金に関わる『必要な資金』と老後メインになるであろう『年金制度』について解説します。
シングルマザーの老後に必要な資金
老後2000万時代と言われる現代ですが、本当に女性が一人で生きていくのに2000万円必要なのでしょうか?
…具体的な数字で将来を見据えるのは困難ですが、必要になってくるのが現実です。
とくにシングルマザーの場合、収入が減ってしまう見込みがあるためまとまった資金(貯蓄)が必要となります。
会社に勤めている間は、給料がもらえますが定年になれば収入はゼロ。
主な収入は、年金のみになってしまいます。
また、今まで受給していた手当ても子供が独立すればなくなるものがほとんど。
養育費も原則20歳までとされているので特別合意がない限り終了してしまうのです。
子供の教育費が不要となれば、手当てや養育費がなくても大丈夫ではないかと思いますが、年齢を重ねるごとに医療費・介護費が必要になったり、年金受給年齢が引き上がったりする可能性があります。
そうなることを考慮すると、いかに老後のための貯蓄が大切かわかりますね。
老後のメイン収入「年金給付額」
老後の生活を支えるメインの収入となるのが年金です。
しかし女性と男性では、年金給付額にも差があるのです。
<基礎年金(平均)>
・男性:58,775円(月)
・女性:53,342円(月)
<厚生年金(平均)>
・男性:163,840円(月)
・女性:102,558円(月)
参考元
平成30年度厚生年金保険・国民年金事業の概況
基礎年金(53,342円)+厚生年金(102,558円)=155,900円
が、シングルマザーのおおよその年金収入になります。
前項でもあるように年金の引き上げは非常に現実的な問題にあります。
実際に、年金受給開始時は『基礎年金65歳から』『厚生年金60歳から』となっていたものが現在では基礎年金・厚生年金とともに65歳からの受給と定められているのです。
※女性:昭和41年4月2日以降、男性:昭和34年4月2日以降産まれの人
シングルマザーの平均貯金・収入
次に、母子家庭の平均貯金額と平均収入額をそれぞれ解説します。
現状を把握し、今後の老後貯金に役立ててください。
平均貯金額
ひとり親世帯を対象とした厚生労働省の調べによると、平均貯蓄額で一番多いのが『50万円未満』とされています。
<平均貯金額の割合>
1.50万円未満:39.7%
2.100〜200万円:10.6%
3.50〜100万円:6.6%
4.700万円以上:5.6%
5.200〜300万円:4.9%
6.300〜400万円:4.5%
7.500〜700万円:3.8%
8.400〜500万円:1.7%
※総人数2060人対象(100%)
参考元
平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告
対して、一世帯の平均貯金金額は約680万円とされており、いかにシングルマザーが貯蓄する余裕が持てないのかわかりますね。
平均収入額
母子家庭で会社員なのか、はたまたパートなのかで収入の差は大きく分かれますが、ここでは厚生労働省が発表している母子家庭の平均収入を見ていきます。
「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」によると母子家庭の平均年収は、243万円とされています。
内、児童扶養手当などの国からの手当て・元夫からの養育費を抜くと『200万円』と記されており、ここから月収を計算すると、単純計算で約16万円。
社会保険料や所得税など引かれて、約13万円が手取りの収入になります。
約13万円の収入から、生活費・教育費・住居費などの支出プラス貯金するとなれば厳しいのが現実でしょう。
参考元
平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告
今からできるシングルマザーの一人暮らし老後準備
前半では、シングルマザーの現実的なお金事情を解説してきました。
ここからは、シングルマザーの未来がより明るいものになるための老後に向けての準備を7つ紹介します。
貯金はいくらある?支出などお金の管理確認
まず、今現在の自分の貯金額・支出金額・想定される教育資金について確認しておきましょう。
節約するにしても、お金の流れを知っておかないと正しく節約ができないからです。
<貯金額>
こちらは明確な人も多いのではないでしょうか?
通帳を毎月記帳する、または引き落とし口座と合算されている場合は貯金用の通帳を作るのもおすすめです。
自分自身で今いくら貯金できているか把握することが重要になります。
<支出金額>
生活費・住居費・光熱費など洗いざらい抽出してみましょう。
家計簿にこと細かく支出を書くことで無駄遣いをしていないか、お金の見直しをすることができます。
<教育資金>
現在必要な教育資金も大切ですが、将来的に必要となる教育資金も把握しておくことで漠然と貯金するより、明確に貯金することができるので貯まりやすい傾向にあります。
子供の教育費は突発的なものもありますが、きちんと事前にリサーチしておくことである程度かかるであろう費用を把握することができますよ。
- 塾の費用(夏季講習なども)
- 部活費用(必要な用具・遠征費なども)
- 試験費用(高校・大学受験費用)
また、小学校・中学校までは義務教育で多額な教育費がかかることは少ないので、貯金する絶好のチャンスといえるでしょう。
保険・銀行などで積立預金をはじめる
「既に貯金ならしている」という人も多いでしょう。
しかし、毎月の貯金額を明確に決めてなかったり、今月はいいかなと貯金をサボる月があったりしていませんか?
そんなことでは、老後2000万時代を生き抜くのは厳しくなってしまいます。
そこで、毎月必ず決まった貯金額を積み立てる『積立貯金』をはじめてみましょう。
積立貯金だと金利がつきますし、場合によっては積立期間満了後、手取りが100%以上になるものも存在します。
投資・外貨保険・終身保険貯蓄・銀行積立預金などさまざまな商品があるので自分のライフスタイルに合ったものを選びましょう。
子供一人の養育費について見直す
子供一人につきどのくらい養育費が必要になるか把握していますか?
- 国から支給される手当ては満了までいくら受給できるか
- 高校は、私立・公立?
- 授業料は年間いくらくらい必要か
- 通学は、自宅から自転車か電車か
- 大学進学への意思はあるのか
など、ある程度でも構わないので金銭的目安を立てておきましょう。
第一子に必要となる教育費の目安を立てておくことで、第二子の教育費についても考えやすくなります。
子供の意思も確認しながら計画を立ててみてくださいね。
不足分の老後資金は子供が独立してから貯金
年金+退職金+貯金が老後の生活を支えるメインのお金となります。
前述にある積立預金も始めたが、それでも老後資金が足りない場合があるでしょう。
そんなときは、無理に貯金の幅を広げるのではなく子供が独立してから余裕を持って貯金をはじめることをおすすめします。
まずは、スマホの格安プランに変更してみる、自動車保険の見直しなどできることからはじめてみてください!
高校・大学・塾など奨学金制度を視野に入れる
高校・大学・塾など成長とともに教育費がかさみます。
そこで注目したいのが『奨学金制度』。
しかし、「奨学金って国への借金で後々苦しむんじゃないの?」と不安もありますよね。
そこで2つの便利な奨学金を紹介します。
高校生等奨学給付金制度
低所得世帯を対象にした国が給付する奨学金制度で、高校授業料以外の教育費をまかなってくれます。
奨学金ではあるものの返済の必要はないので安心して利用することができるのが特徴です。
<条件>
・生活保護受給世帯、または非課税世帯
・保護者が申請する自治体に住所がある
・児童が支給対象の高校に在学中(確定)
<給付額>
・生活保護受給世帯
国公立32,300円(年)・私立52,600円(年)
・非課税世帯(第一子)
国公立75,800円(年)・私立84,000円(年)
・非課税世帯(第二子)
国公立129,700円(年)・私立138,000円(年)
自治体からの奨学金
成績優秀だが低所得世帯のため進学が困難(断念せざるを得ない)な児童に自治体から支給される進学支援奨学金制度があります。
制度は、区市町村の自治体によって異なるのでお問い合わせください。
自治体によっては、教育委員会から給付されている奨学金もあるので合わせて確認しておきましょう。
どうしても厳しい場合は生活保護も視野に入れる
働くことが難しく、現状の生活が困窮している場合は老後の心配の前に今の生活を立て直すことが最優先になります。
そのような場合、生活保護を受給することも視野に入れてみましょう。
<生活保護受給条件>
1.貯蓄・資産がない
2.働くことが困難にある
3.他の制度を受給しても生活するのが困難
4.親族からの援助は受けられない
があげられます。
生活保護は、最低限度の生活を保障してくれるものであり、自立をサポートしてくれる制度です。
子供と自分の生活を守るためにも、条件に当てはまる世帯は受給しつつ自立を目指していきましょう。
老後の住まいについても考えておく
シングルマザーの住まいはとても重要です。
一人暮らし、子供との同居、老人ホームなど選択肢はたくさんあります。
バリバリ働いているうちにマンション購入して、老後はローンも完済し住宅費用なしで居住することも可能です!
自分の理想的な将来のために住まいについて考えてみましょう。
寂しい孤独な老後なんてイヤ!楽しい老後を過ごす方法
今や、孤独死は人ごとではありません。
子供がいても、地元から離れて就職したり、嫁いで行ったりと必ず就職後も自分のそばにいてくれるとも限らないからです。
しかし、中には「お母さんを一人にするのは可哀想」と夢や結婚を諦めてしまう人もいるでしょう。
それは母親として悲しいもの。
寂しくない老後計画を立てることができたらお子さんも自分自身も安心して老後を迎えることができるのではないでしょうか。
そこで、最後に楽しい老後を過ごす方法を3つ紹介します!
ブログ・SNSも活用して知り合いを増やす
まずは、知り合いをたくさん増やしましょう。
職場や近所の人はもちろんですが、新しく知り合いを作るのが難しい…という人はブログやSNSを活用するのも一つの手段です。
同じシングルマザーや子供が同年齢のママ友、同じ趣味を持つ人など何か共通点のある知り合いを見つけるのが良いでしょう。
会えない距離の場合は、SNSを通じてお互い支え合うだけでも気持ちが晴れますよ。
自分の価値観を広げるためにもできるだけ多くの人と繋がってみてくださいね!
没頭できる趣味を見つける
子供が独立し、定年退職したあとの老後は、自由な時間が増えます。
今まで育児に仕事にと自分の時間を設けることができなかったママもいきなり空いた時間に嬉しいような寂しいような複雑な気持ちになることでしょう。
そこで、没頭できる趣味を見つけておくのが一番です!
とくに、おうち時間が多くなる老後は運動不足に悩まされる人も少なくありません。
ジムやヨガなど運動系の趣味や、自宅でできる壁トレもおすすめです。
マイペースにはじめられるものから取り組んでみましょう。
再婚して第二の人生を歩むのもGood!
再婚に目を向けてみるのもおすすめです。
まだ子供が小さい間は再婚を考えられない人も多いでしょう。
しかし子供が独立したあと、自分の人生についてもう一度検討してみてはいかがでしょうか?
パートナーとワイン片手にチーズをつつく、美味しい食事を共有する、そんな第二の人生を歩むのも素敵ですよ。
シングルマザーにとってお金と住居の確保は必要不可欠!
シングルマザーにとって、老後は不安の塊かもしれません。
しかし、事前に対策をとっておくことで楽しい老後を迎えることはできるのです。
子供が一人前になるために、きっとがむしゃらに毎日を過ごしていることでしょう。
子供が独立したあとも生きていくために、お金と住居は必要不可欠になります。
そこで重要になるのが今からしっかり未来設計を立てておくことです!
なかなか見えない未来のために動くのは難しいもの。
当社には母子家庭を専門とするスタッフが在勤しておりますので、ぜひ一度未来設計についてご相談ください。
まとめ
- 資金の必要性・年金受給の現実がシングルマザーに待ち受けている
- シングルマザーの平均貯金額は『50万円未満』平均収入額は『年収243万円』
- シングルマザーの老後準備は、貯金・教育費の再確認、積立預金をはじめる、奨学金制度の利用など
- 楽しい老後を過ごす方法は、知り合いを増やす、趣味を見つける、再婚も視野に入れるなど